サイファーの口づけ:選択式ショートストーリー
By Cathleen Rootsaert
「サイファーの口づけ」は選択肢で展開が変わる恋愛ストーリーです。各章の最後に二つの選択肢があり、どちらかを選んでストーリーが進行します。最初に戻りたいときは、いつでも「序章」を選択してください。
フリーランサーのパイロットと担当のサイファーが恋に落ちることは珍しくない。けれどそれは禁じられた恋だ。
現実的で大切な理由がある。感情の高ぶりや、ぶつかり合いはジャベリンをロックに導き、ジャベリンがロックされてしまえば、パイロットは大変な危険にさらされる。空から真っ逆さま、墜落死さえしかねない。実際に起きたことだ。
君も知っての通り。フリーランサーの掟は明確に定められている。けれど… それでも…
朝の目覚ましが鳴った時、もう君は天井を見上げて、アンミアンのことを考え始めていた。君のサイファーだ。その瞳、その声、触れた手、何よりもサイファーと繋がった時の素晴らしい幸福感。愛する人とこれ以上なく結びついたときの電撃が走るような喜び。
これは愛かもしれない。
いや、きっと違う。この歳まで生きてきて、どれだけ渇望しようと、本物の愛、目くるめく恋を味わう機会は訪れなかった。両親はレギュレーターだった。「子供に耐えられる生活じゃない」二人はそう言った。自分達の子供にはもっと良い人生を歩んでほしいと。そして君と兄弟は、サード・ホープの祖父母のもとで暮らすことになった。楽しい日々ではなかった。学校には興味がなかったし、実家の店で働くのも嫌だった。正直に言えば、自分自身も決して扱いやすい子供ではなかった。感情の押さえが効かず、何かと面倒に巻き込まれる。怒りっぽい?あっそ怖いか?[{M}そうかもな][{F}そうかもね]そして独りぼっち。…それは間違いなく。どう見ても愛される子供ではなかった。だが同時に、君は一切わき目を振らずにフリーランサーになることができた。記録的な若さで、そして今は十分に尊敬の眼差しを浴びている。フリーランサー・ハルークはお前はフォート・タルシスの注目株だと言ってくれた。尊敬は愛にも似ている。
また目覚ましが鳴った。もう居住区に向かわなければならない。だが、君はベッドに横たわり、天井を見つめ続けている。昨夜アンミアンと過ごした時を想って。アンミアン…。
帝都アンティウムに生まれ、何かしらの皇族と繋がりがあり、恵まれた特権のもと裕福に育ってきた。だが、その特権をもってしても見出された「変異者」としての素質から逃れることはできなかった。そして訓練のためサトーミに送られた。サイファーはどこか壊れていると言われるが、君はアンミアンに関して、何一つおかしな部分を見出せなかった。少し荒っぽくて、大胆で面白い… けれど、おかしいわけじゃない。
アンミアンがサイファーとしてフォート・タルシスにやって来た時、フリーランサー・ヤーロウは君にアンミアンと組んで、よく面倒を見てくれと言った。それからもう数か月経つが、アンミアンとは毎日のように一緒に夜の時間を過ごしている。一緒に料理をし…一緒に笑い…一緒に語り合った。お互いそんな相手に出会ったのは初めてのことだった。アンミアンは君の喜びだ。炎だ。明日をもたらす希望でさえある。
けれど昨晩は…。昨晩も君は自室の扉がノックされるのを聞いて、ここ毎晩のように胸を高鳴らせた。扉を勢いよく開けると、アンミアンが敷居でつまづいて、部屋の中に倒れこんできた。君はそれを受け止め、二人はぎこちなく抱き合うことになった。そこからいきなりだった。アンミアンは君を強く抱き寄せると、耳元でささやいた。
「愛してる」と。「君もきっとそうだと思う。どうか愛してると答えてほしい」、そう言ったのだ。
胸に詰まるものを感じ、君は一瞬固まった。
そしてかろうじて答えた、「フリーランサーの掟がある。それに反することはできない」「禁じられているんだ。だから…だから…何と言っていいか分からない」と。
「けど、どうやったら忘れられる?もう君みたいな人には出会えないかもしれないのに」
その通りだった。胸の奥、密かに愛に餓えていた心が酷く痛んだ。君の心は引き裂かれた。アンミアンに感じているこの感情と、フリーランサーを重んじ、愛する気持ちの二つの間で…
1. アンミアンに「愛してる」と答える
2. アンミアンに「分からない。いまは混乱している」と答える
Jay Watamaniuk、Ryan Cormier、Jeffrey Campbell、Mary Kirby、Amanda Kelsko、Karin Weekesに感謝を込めて