「Dead Space」のアクセシビリティとプレイヤーの選択
さらに多くのプレイヤーが「Dead Space™」を楽しむことを可能とする、Motiveの革新的な取り組みについてご紹介します。
Motive™のチームが「Dead Space™」のリメイクに着手した当初から、チームはゲームがより多くのプレイヤーにとって楽しめるものである必要性を重要視していました。
「『Dead Space』は、初期発売時にホラーゲームの在り方を変えた革新的なゲームです。」とリード・シニア・エクスペリエンス・デザイナーのChristian Cimonは言います。「なので、リメイクすることによって全く新しい世代と共有するべき作品だと私は考えています。しかし、このゲームが初めてリリースされた15年前、アクセシビリティ機能は一般的ではありませんでした。字幕、メニューのナレーション、操作ボタンのカスタマイズなどは、現代では当たり前の機能となっているため、リメイクでもその最高水準を満たすような設計をしたいと考えていました。」
もちろん、Motiveという開発チームである以上、期待に応えるのはスタート地点にすぎません。この新しい「Dead Space」では、いくつかの方法を用いて基準値を設定していきました。
開発中のゲーム
あなたのゲーム、あなたの選択
まず、ゲームには細かい操作で幅広いカスタマイズオプションが用意されています。以下に一部内容をご紹介します:
- メニューオプション:メニューはナレーションが可能で、ナレーションの音量も調整することができます。
- 色覚特性モード:プリセットの色調整は1型色覚(赤色弱)、2型意色覚(緑色弱)、3型色覚(青色弱)に対応しており、色のコントラストレベルを調整することもできます。
- 操作のカスタマイズ:本作では、ボタンを1つ押すだけでクイックタイムイベントを完了できるようになっています。ダッシュ、エイム、マップズームを切り替えモードに変更したり、オーディオとビデオログを閉じる際にボタンの長押しではなく、タップで閉じるように変更することもできます。さらに、すべての入力を違うボタンにカスタマイズすることが可能となっています。
- エイムアシスト:エイムアシストを有効に設定すると、ターゲットレーザーが敵に近づいた時にカメラの動きを遅くする「摩擦」効果を発動させることができます。また、敵を狙う際にカメラが焦点を合わせる時間を設定することもできます。この「磁石」効果は完全にオフにすることも可能です。
- ユーザーインターフェース:エイム中にキネシスのマークをオフにしたり、画面上に常時ドットを表示させたりすることで、ユーザーのゲーム体験を向上させることができます。
- モーション:メインメニューでのフローティング効果を無効にしたり、カメラの揺れをオフにすることが できます。
- 字幕:字幕を有効、または無効に設定できるだけでなく、フォントサイズの調整や、ローマ字の場合はすべて大文字に設定できたり、テキストと背景の色の反転、背景の透明度の調整、キャラクター名の表示有無や、他のテキストの色とは異なる色で名前を表示するかを選択したりすることができます。
ここまででもすでに幅広いオプションが用意されていますが、チームはより多くのプレイヤーに満足してもらうために更なるオプションを実装しました。「一部のプレイヤーは、ホラーや残酷な描写を含むゲームにおいて、特定のコンテンツを見たくないことがあるということをMotiveは理解していました。」とEAのゲームアクセシビリティ・プログラムリードのMorgan Bakerは言います。「そこで、ゲーム内の生々しいコンテンツの表示をプレイヤー側で制御できるような仕組みを作れないか模索したのです。」
こういった類のゲームでは初の試みになりますが、「Dead Space」にはセンシティブになり得るコンテンツが表示されることを事前に知らせるコンテンツ警告機能が実装されています。また、プレイヤーが見たくない場合は、そういったコンテンツを隠すオプションもあります。「最初のオプションは、不快になり得るシーンの前に警告を表示します。」とChristianは言います。「次に起こるイベント、オーディオログ、ビデオログなどの簡単な説明を邪魔にならない程度のポップアップで表示するのです。」もう一つのオプションは、画面上でのエフェクトを使ってシーン自体を隠すことができます。音声はそのまま聞こえますが、 シーンが終了するまでぼかし効果で映像を隠します。」
コンテンツ警告 : このセクションには、自傷行為による死の描写が含まれます。
コンテンツ警告 : このセクションには、自傷行為による死の描写が含まれます。
チームは、これらのコンテンツ警告機能は自由に選択できるものとなっており、デフォルトでは無効に設定されていることを強調します。「『Dead Space』は、残酷で血の描写を含むホラーゲームです。」とChristianは言います。「さらに、ゲームの核心的部分に反することはしたくなかったので、ネクロモーフに対しての暴力行為はこれらの機能の対象外となっています。主に人間に対しての激しい暴力、強い心理的恐怖、または自傷行為を含むシーンが対象となっています。もちろん、不快な要素を判断する上で、多くの主観が絡むことになります。」
「これらの機能には、もちろん改良の余地があります。」とMorgaは付け加えます。「ゲームデザインは常に進化を続け、常に改善の余地があるのです。」
終わりなき旅
つまり、「Dead Space」は、目指すべきインクルージョンの思想を完全に体現する作品ではないのです。「アクセシビリティ機能は、ゲームを作る上で当たり前の機能になりつつあります。」とChristianは語ります。「我々は、アクセシビリティ機能をゲーム機能に置換する作業を徐々に進めています。より多くのプレイヤーにゲームを共有できるので、開発者としては理にかなっていると思います。それだけでなく、幅広いプレイヤーに支持いただければビジネスとしても可能性を広げることができます。」
「プレイヤーとゲームの間に生じる障壁を調整し、取り除く作業です。」とMorganは語ります。「アクセシビリティは、あらゆる能力やバックグラウンドを持つ人々の体験を向上させ、より良い製品を提供し、より多くのプレイヤーがゲーム体験を楽しんでもらうことを可能とします。そして、『Dead Space』チームが取り組むアクセシビリティ機能の改善は、今後も私たちにとっての優先事項であり続けます。」
これは、アクセシビリティに対するEAの取り組みの最新の例にすぎません。例えば、「インクルーシブ・プレイヤー・エクスペリエンス」チーム(IPeX)の立ち上げや、新たに発表されたEAの「アクセシビリティ向上のための特許開放誓約」への追加事項により、同業他社や開発者がアクセシビリティ関連の特許や技術に無料でアクセスできるようになります。これは、ビデオゲームをプレイする上での障壁を可能な限り削減、または排除し、ポジティブなプレイを尊重するEAの継続的な取り組みの一環です。
「Motiveのような開発スタジオがホラーコンテンツの見せ方に関してここまで熱意をもって取り組んでいるのを見ると、 とてもモチベーションが上がります。」とMorganは言います。「刺激を与えてくれます。他のスタジオも同じように取り組んでくれることを願うばかりです。何故なら、全員がゲームをプレイすることができれば、全員が楽しめるようになるからです。」