新たな技術が「Madden」「College Football」の開発に貢献
プレイヤーと開発者の両方にメリットのある、機械学習とAIによる開発強化
2025年2月27日
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
1988年6月1日、「Madden」シリーズ第1作がリリースされました。当時、ゲームをプレイするにはCommodore 64/Commodore 128、Apple II、またはMS-DOSといった環境が必要でした。しかし、いざ起動すると、NFLの人気チームの選手たちが8ビットのアニメーションで登場し、プレイヤーたちはお気に入りの選手を操作してスーパーボウルの優勝を目指すことに夢中になりました。これは当時としては、素晴らしい体験でした。
EA SPORTSは、37年後の今でも「Madden」とアメフトゲームの進化させ続けています。
直近では、「EA SPORTS Madden NFL 25」と「College Football 25」といった、私たちの大人気アメフトゲームシリーズの柱となる作品をリリースしました。進化した現在のアメフトゲームは、もはやブロック状のピクセルで描かれた選手たちと4方向の操作ではありません。それどころか、現状で最もリアルなスポーツのシミュレーションとなっています。また、先日のスーパーボウル・ウィークエンドを記念して、ニューヨークの中心でチャンピオンシップゲームと素晴らしい音楽を楽しんだ「Madden Bowl」も開催しました。これは、毎年このシリーズをより良くすることを目標にしている、素晴らしい開発チームのおかげで祝えました。そして、これを実現するのに最新のテクノロジーは欠かせません。
テクノロジーの進歩はグラフィックを進化させ、フィールドを俯瞰するような映像から、選手の汗のしずくが見えるほどの至近距離でプレイできるようになりました。テクノロジーにより、ダイナミックかつリアルタイムの天候イベントがもたらされ、選手の動きやボールのハンドリングに影響を及ぼしています。さらに、「Madden NFL 25」のBOOM Techによって、圧倒的にダイナミックなタックルが登場しました。
また、開発チームにとっては、150以上のユニークなスタジアムと数千人のユニークなプレーヤーを開発することができるようになり、プレイヤーやファンが愛してやまない比類ない信憑性と没入感の核となる部分が、「College Football 25」のようなタイトルのリリースを可能としました。
「もし240種類の顔を再現しろと指示されたら、参ってしまいますよね。きっと58個目を作る頃には、もう精神的に限界になっていることでしょう。そのため、私たちは機械学習を使って、AIに美術スタッフたちへ10種類のオプションを提供するよう指示し…」
新しい技術で開発者に力を与える
EAで20年のキャリアを持つRichard Burgess-Dawson氏は、「College Football 25」のフランチャイズアートディレクターです。Burgess-Dawson氏にとって、2025年版はこれまでで最も革新的な技術のアップデートが行われ、機械学習とAIのおかげで、開発者たちはこれまで不可能だったようなコンテンツをプレイヤーに提供できるようになったとのことです。
「開発の観点からは、スタジアムの作り方、ユニフォームの作り方、 GIBSの照明技術 、焼け付けではなくランタイム・ライティング、キャラクター作成など、4つの驚くべき技術的イノベーションがありました」と彼は言います。 「もちろん、機械学習とAIが重要な役割を果たしました」
機械学習とAIによるキャラクター開発
選手やスタジアムの作成も、アセットが重要でした。「College Football 25」では、開発者たちは11,000人以上の選手たちを作り上げる必要がありました。過去にこれを実現するには、美術スタッフのチームが11,000人以上の選手の写真を見ながら、選手を一人一人を手作業で作り上げる必要がありました。
機械学習とAIによって、驚くほどプロセスがスピードアップし、美術スタッフたちはゲームの他の部分に時間を費やすことができたのです。
「私たちは、一体どういった素材を作るべきかを見極めたかったのです。ゲームに登場する11,000人のアスリートを正確かつ現実的に再現するために、私たちは機械学習を使って、各選手に最も合った240種類の頭の形に分けることができました」とBurgess-Dawson氏は語ります。「AIはパターン認識に役立ってくれました。私たちは選手たちのパターンを探し、それらをベースにしたに頭を作り、これで全選手の顔が作られたのです」
11,000人のプレイヤーを表すために必要な240種類の頭の組み合わせが揃い、次にすることは、選手の提出した写真と頭のデータベースを結びつけることでした。
「もし240種類の顔を再現しろと指示されたら、参ってしまいますよね」とBurgess-Dawson氏は言います。「きっと58個目を作る頃には、もう精神的に限界になっていることでしょう。そのため、私たちは機械学習を使って、AIに美術スタッフたちへ10種類のオプションを提供するよう指示し、それを彼らが使えるかどうか見極めました」AIは人間のアシスタントです。我々に可能な限りベストなオプションを提示してくれ、それを開発チームが改善を行いました」
これらのオプションによって、アーティストたちは、選手に近い頭の形、肌の色、髪型、ひげなどを作成するために必要なものがすべて揃ったので、その専門知識や経験を活かして、大学アスリートたちを最高の姿で再現しようとしました。
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ユニークな取り組み
しかし、この素材ベースの開発テクニックは、ゲーム内のアスリートたちにのみ使用されたわけではありません。また、開発者や環境アーティストが「College Football 25」でアメリカ全土に見られる150を超えるユニークなスタジアムを制作するのにも貢献しました。
「過去には、アーティストが手すりやトンネル、照明など、いろいろな素材を作っていました」とBurgess-Dawson氏は説明します。「もし誰かが間違いを犯したり、変更を加えたりした場合、各アーティストが調整を加えるのに多くの時間と労力を要しました。そもそも、スタジアムそのものを作成するのに大量の時間を要しました。しかし、新たに開発されたスタジアムツールキットを使うことで、難易度の高いステップを排除できました」
このツールキットは、階段、入り口、トンネル、非常階段など、スタジアムによくある一般的なエリアやパーツを開発者の資産から引き出すという点で、選手の開発と同じように機能しました。
「これらの開発は手続き的に処理できます」とBurgess-Dawson氏は言います。「そのおかげで、アーティストたちは別のユニークな要素に時間を費やすことができました。ほとんどのスタジアムには、そのスタジアム独特のジャンボトロン(大型画面)と記者席があります。そのため、平凡な部分にこだわることなく、各スタジアムのユニークで象徴的な部分に焦点を絞ることができました」
つまり、1つ1つのステップの構築に時間をかける代わりに、アーティストたちはミシガン・スタジアムのエンドゾーンにある象徴的な「M」のロゴ、ローズボウル・スタジアム、UCLA/USCのブルーとゴールドの配色と周囲の山々、あるいはノートルダム大学のレンガ造りの外観と「タッチダウン・ジーザス」の壁画など、ユニークなものに焦点を当てることができたのです。これらの要素は、すべてがファンとプレイヤーたちが知っているスタジアムの象徴なので、アーティストがそれらを再現することは、Burgess-Dawson氏にとって重要でした。
万能ツールこの技術は、「EA SPORTS Madden NFL」や「College Football」の次回作だけでなく、開発者が望めば、他のEA SPORTSゲームにも使用できます。
「素晴らしいのは、この技術は『College Football 25』に限定されていないことです。『Madden』を含め、今後のあらゆるバージョンに焼き付けられるはずです。できれば、EA SPORTSシリーズの他の開発チームも、そのパワフルな技術を活用していただきたいですね」とBurgess-Dawson氏は言います。
「ほとんどのスタジアムには、そのスタジアム独特のジャンボトロン(大型画面)と記者席があります。そのため、平凡な部分にこだわることなく、各スタジアムのユニークで象徴的な部分に焦点を絞ることができました」
未来を見据えて
技術の進歩は、プレイヤー、ファン、そして開発者にとってもメリットがあります。キャラクターの肖像や環境モデリングなど、これまで時間を大幅に費やす必要があった要素の開発を強化、加速、拡大することで、当社のワールドクラスの開発者たちは、プレイヤー体験、ゲームプレイの革新、過去作からのアップデートなど、最も重要な分野に集中することができました。
EAは、新しいツールやテクノロジーの追加など、イノベーションを推進し続けています。先日、EAはTRACA Technologiesの買収に合意し、チームがよりリアルで没入感のあるEA SPORTS体験を提供できるようになり、これにより我々のSEED部門(Searching for Extraordinary Experiences Division)は、インタラクティブ・エンターテインメントの未来を探求し、構築することができています。他にも、ゲームの未来を形作っているエンジンでおなじみのFrostbiteなど、様々な新戦力が加わりました。
EA CREATES
EA CREATESの第4章は、リアルなキャラクター、没入感に溢れる世界、卓越した技術、そして忘れられない体験を作り上げる芸術性を掘り下げる特別限定シリーズです。EAは、世界中の何百万人ものプレイヤーを楽しませるだけでなく、彼らの人生経験を反映し、EAのゲームを通じて彼らの生活を豊かにすることを使命としています。
今後の展開にご期待ください。
EAでは、ゲームを通じて世界中の人々にインスピレーションを与えることを目標にしています。我々が団結すれば、成し遂げられないことは何もないと信じています。
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