ウェーク島の今と昔:蘇る名作マップ
バトルフィールドのベテラン・プロデューサーLars Gustavssonが、すべての始まりを告げたマップと、迫る再誕について語ります。
Lars Gustavssonは“ファン”サービスにかけては一家言あります。換気ダクトメーカーで10年働いた後、やがて職を変え、過去有数の知名度を誇るバーチャルな戦場、「バトルフィールド 1942」のWake Island(ウェーク島)のオリジナル版を共同制作し、さらに新たな新生版の制作に取り組むことになりました。
12月、「Battlefield™ V」のチャプター5:「太平洋の戦い」ではこの伝説のマップが登場します。これを記念して、今回は特別に過去を振り返ってみることにしました。ミスター・バトルフィールドとも呼ばれるプロデューサーLars Gustavssonに、オリジナル版Wake Islandの制作と、初期のプレイテストの喜び、2002年から現在までの変化について聞いていきます。
もちろん、マップの形が蹄鉄型か、バナナ型についての質問も忘れていません。
このWake Islandのペンシルスケッチでは、メモで兵舎、対空砲、沈んだ潜水艦などの重要ポイントが示されている。
2002年の時点で、これから17年後にあなたはファンの期待を背負ってWake Islandを再び作ることになりますよ、と言われたら正気を疑うのではないでしょうか?
- まったくです。とはいえ、その当時から私たちはこのマップにとても自信を持っていました。「バトルフィールド 1942」が大成功を迎えるだろうということにもです。Refraction Games(後にDICEが買収)のためにCodename Eagleを作成した私たちは、陸・海・空を舞台にした64人対戦の成功が見えていました。その舞台を第二次世界大戦に設定し、人気の歴史映画からの兵器や装備のすべてを持ち込めば、素晴らしい作品になるはずでした。
問題は「バトルフィールド」の名がまだ誰にも知られていない時代に、どうすれば、このアイデアをパブリッシャーやプレイヤーに売り込めるかです。
陸・海・空の64人対戦というコンセプトを提案したとき、パブリッシャーには「実現は無理だ」と言われました。1年あまり、パブリッシャーは一つも付かなかったのです。やがて、EA Redwood Shoresが私たちの仕事を目にしました。そしてCodename Eagleのコンセプトを第二次世界大戦が舞台の64人対戦にできるのなら契約可能だと言われたのです。あとはそれを実現するだけでした!
「バトルフィールド 1942」の初期バージョンをプレイヤーの手に届けられるまでにはしばらくかかりました。E3 2002で私たちは小さなブースを出展しました。最初は誰も来ませんでしたが、噂が広まるにつれ、列が長くなっていきました。
島のカモフラージュされたコンクリートバンカーの初期コンセプトスケッチ。
そして、Wake Islandの登場するデモがリリースされたのですか?
- そうです。2002年8月でした。チームと夕食会に出かけたのを覚えています。スタジオCEOのPatrick Söderlundは残ってデモの数字を見てから、打ち上げの席に合流することになりました。デモは順調にトップクラスの人気ゲームへの道を歩み始めました。これまでずっと先行きが不透明だった中で、まさに「勝利が爆発した」瞬間でした。これなら成功できると。
Wake Islandはその突破口をもたらした鍵でした。Wake Islandはデモのマップであっただけでなく、「バトルフィールド 1942」のトレーラーでも大きく目立つことになりましした。トレーラーも一線を画す作品でした。私たちは単なるマルチプレイヤーの混沌とした戦いだけでなく、刻々と変化する戦場における守る側と攻める側のストーリーを背景に持つ、より映画的なものを作ろうとしたのです。ここからバトルフィールドの壮大なトレーラー制作の伝統が始まったのです。
当時にWake Islandが人気となった理由は考えられましたか?
- Wake Islandは戦争ゲームとしては異色のビジュアルを持ちます。灰色の憂鬱な景色ではなく、南国の楽園が舞台です。現実のウェーク島の歴史も大きなポイントでした。オリジナルの名前を付けた、一から作られた地形であれば、そこまで興味を持たれなかったのではないでしょうか。プレイヤーは島で何があったのかや、その地面の上で行われた本当の戦いから刺激を受けることになりました。そして忘れてはならないのが、島の形です。
島の形と言えば、ここで結論を出したいと思います。Wake Islandは蹄鉄型ですか?バナナ型ですか?
- スタジオでも長年議論の的になってきましたが、人により答えが違います。私は絶対に蹄鉄型派です。バナナ型はMaritaですね。
Wake Islandの主要エリアの初期コンセプトスケッチ。
島の形はゲームプレイ面でどんな意味を持ちますか?
- 幅の狭い戦場なので、戦闘が起きやすくなります。早い段階で気づいたのですが、この形状は他のマップよりも、全体を把握しやすく、さらに各種のプレイスタイルを可能にします。島の形状はいくつかの選択をもたらします。海上ユニットを使い敵の側面を突くことも、地上で正面から戦闘に飛び込むこともできます。またこのマップでは、地点への距離と近づきやすさが対照的なのも面白いと思います。
アメリカ軍チームと日本軍チームは戦闘条件が異なり、一方が攻め、一方が守りです。この非対称の設定で、どのようにWake Islandのバランスを保ったのですか?
- 攻撃側と防衛側のチケットの比率を調整しました。また、チームの利用できるビークルもファクターの一つで、空母と駆逐艦はどこにでも移動でき、練度の高いチームならそれを有効活用できました。分隊や分隊出撃の機能はありませんでした。そのため倒された場合、コントロールポイントまたは艦上から開始しなければならず、それもバランス調整に使うことができました。
当時、技術的に難しかった点を教えてください。
- エンジンの能力は64人のプレイヤーといくつかのビークルを同時に登場させるだけで限界に近いものがありました。結果として、グラフィックを細かくすることはできません。ですが制限があるのは悪いことばかりではありません。Wake Islandではグラフィックがあまり細かくないことが、私たちが求めていた荒れ果てた楽園らしい見た目の実現に役立ちました。その点では他の環境の再現には苦労しました。スターリングラードの爆撃された市街の環境などです。
チームが小規模だったことも難しい点でした。例えばサウンドチームです。新しいWake Islandでは当時のままのエンジンで動く零戦の音など、音の収録のためにクルー全体を世界中に送り出しました。「バトルフィールド 1942」では、サウンドエンジニア1人(とサポートのコーダー2人)で全16マップと武器、ビークル、その他のサウンドを作ることになりました。サウンドエンジニアの彼が、イースターの祝日にコーヒーをがぶ飲みしながら、プレイヤーの動きに基づいて海岸線に押し寄せる波の音を作成していたのを思い出します。そして月曜日、誰かが誤って彼のファイルを全部上書きしてしまったのです。目まぐるしい日々でした!
オリジナルのWake Islandと「Battlefield V」での新生バージョンで主に異なる点は何ですか?
- 私たちは開発サイクルを重ねるごとにあちらこちらを改善しつつも、Wake Islandを特別なマップにした、オリジナルの特徴を残すように気を付けています。ビジュアルの向上など、明らかな改善点もあります。何よりもマップが大きくなりました。プレイのペースを良くするために地形のサイズが拡大されましたが、同時に植生や岩などの歩兵が隠れられる場所も増えています。
防衛設備の構築 も新しく面白い要素です。Wake Islandは直線的なマップなので、構築物を上手く使って敵を止めることができます。「バトルフィールド 1942」のマップは変化が起きない世界で、戦闘により姿を変えることは不可能でした。「バトルフィールド 1943」では破壊要素が加わり、体験が一変しました。そしていま「Battlefield V」では、破壊要素、建築要素、新ゲームモードなど、ゲームそのものから、これまでの年月の進化を見て取ることができます。
新しいWake Islandがリリースされたら何をプレイされますか?
- 難しい質問ですね!私はコンクエストアサルトかブレークスルーを試します。どちらのモードもマップに興味深い要素が加わるからです。開発中に相当プレイしましたが、家でくつろぎながらフラッグを争える日が楽しみです。私は“野良”分隊でプレイするのが好きで、よく分隊長の役目に就きます。
ランダムに集まった協力に積極的な人々とプレイするのは、本当に特別な体験です。たまたま同じ隊に放り込まれた見ず知らずの仲間たちが、互いに力を合わせて共通のゴールを目指すのです。ある意味、人間というものの本質を知ることができます。
生まれ変わった2019年版Wake Islandはファンの期待通りのものとなるでしょうか?
- 私はそう信じています!初期テストラウンドではとても好評でした。そしてゲームチェンジャー向けに行った「Battlefield V」のプレイテストでは、新生Wake Islandのブレークスルーで驚くようなマッチが戦われました。残り1分で、攻撃チームが最終区画を制圧して奇跡的に勝利したのです。大勢が熱狂して声を上げ、私は思わず17年前のWake Islandの内部テストで、私たち自身が上げた興奮の叫びを思い出しました。
そのとき私はこう思いました。「ただのテストでこんなに楽しいなら、最終バージョンはどれだけ楽しいものになるだろう」と。
それが私たちの自信の源です。プレイして楽しい、ただそれだけです。
– Jonas Elfving
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