「The Sims 4 Get Famous」:ベネッサの挑戦
全2回からなるセレブストーリーの前編をお届けします。
シムズファンの皆さん、来たる「The Sims™ 4 Get Famous」の発売を祝って、今回は皆さんにベネッサをご紹介したいと思います。ベネッサは、大志を抱いて「Del Sol Valley」にやってきたばかりの一人のシムです。このストーリーは前後2編でお送りします。どうぞお楽しみください!
ベネッサの挑戦
パート1:小さく始める大きな夢
ようやく荷ほどきが完了したベネッサですが、書類のほとんどはまだごちゃ混ぜのまま。
「この辺りにあるはずなんだけど…」、ベネッサは誰ともなくつぶやきました。
最後の箱の山を引っ掻き回してみますがいっこうに見当たりません。一体どこにいったのでしょう?するとベネッサは寝室の隅に置かれている小さな箱に気付きました。どうやら見逃していた箱があったようです。ガムテープを引きはがして蓋を開けると、自分の宝物の本が収められた真上に、探していたリストが鎮座していました。
Del Sol Valleyにやって来ることは、ベネッサがずっと抱いてきた夢でした。これから世界的な女優になるための挑戦が始まるのです。とはいえ、その栄光を掴むまでには、いくつかのハードルが待ち受けています。進むべき道を見失わないよう、ベネッサは為すべきことをリストにまとめていました。
リストの一番上は「演技の勉強」。これには既に取り掛かっています。激しい競争を勝ち抜き頂点を目指すには、演技力をもっと磨かなければなりません。だからこそ、ベネッサは大切な演技の本を取り出すと、すぐに演技の練習を始めました。一に演技の練習。二に演技の練習。演技の練習は将来の夢に向けて自分を奮い立たせてくれるものでしたが、それよりもっと勇気づけられたのがターシャからの電話です。今でも電話の内容を思い出せます。
「もしもし?」
「ベネッサ?ターシャよ!」
聞き覚えのある声に、ベネッサは緊張がほどける気がしました。ほとんど知り合いもいない街に越してきたばかりで心細くなっていたベネッサには、高校時代の友人ルークの友達であるターシャの声は、まさに救いのように感じられたのです。
二人は即座に会う約束をして、一緒に過ごしたり、ベネッサの演じるシーンを練習したりしました。人前で演技のパフォーマンスを行ってチップを稼ぐことを提案してくれたのもターシャでした。
「上手く行くと思えないわ…」、ベネッサは少し顔を赤らめながら答えました。
「尻込みはなしよ。きっと、このアイデアに感謝する時が来るから」
そうです、失敗したからといって何を失う物があるというのでしょうか?人前で演じ始めて最初の内は、誰もが怪訝な顔をして二人を見守りました。けれど数回も繰り返すと、前にも見た人々が、その意味に気付き始めたのです。土曜日にはちょっとした観衆まで集まるようになりました。演技のパフォーマンスで稼いだチップは家賃の足しにもなりましたが、未だベネッサにオーディションの声がかかることはありませんでした。それでも二人は演技のパフォーマンスを続け、ベネッサは自分の演技をものにしつつありました。
そしてついに運命の電話がかかってきたのです。
「ミス・チョン、 あなたのパフォーマンスについてお聞きしました。ぜひこちらの事務所で売り込ませてもらえないでしょうか?」
ベネッサは喜びのあまり叫びそうになってしまいました。Del Sol Valleyのトップクラスの事務所から声がかかったのです。すぐさま契約を結び、夢に向けたリストの「タレント事務所に所属する」に完了のマークを入れました。ついに、 この時が、 きたのです。ブレイクする時が。
…少々大袈裟ですが。
運命の電話の後、事務所からは数件の出演料の安いオーディションの案内が送られてきました。稼ぎを考えると心許なくありますが… そんなことは関係ありません。スタジオに入り、ヘアメイクを済ませ、監督と言葉を交わして、ベネッサはゆっくりと夢の人生の第一歩を踏み出していきました。
数週間にわたり地味な撮影をこなした後、ベネッサの元に1本のギターが届けられました。「オーディションの機会を増やせるように、曲をいくつか上手く歌えるようにしておくこと」。そう書かれたメモが同封されています。
次のオーディションのために一歩ステップアップが求められているということです。事務所の期待の証でもあります。
ジャランジャラン!ジャジャジャジャン!
「ベネッサ、ターシャよ。今晩、すごく素敵なパーティーが開かれるらしいの。私も友達と出かけることになってるんだけど、 あなたもぜひ来るべきよ!」
「どうしようかしら…。事務所からギターを受け取ったから、その練習をしないと…」
「ベネッサ!あなたは気負い過ぎ。練習ばっかりじゃない。一晩くらい肩の力を抜くべきよ」
ターシャの言うとおりです。ベネッサは、もう長いことパーティーになんて出かけていません。
「私も行くわ」。そう答えて今はリストを置いておくことにしました。
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ベネッサは自分の携帯を見下ろしました。取り損ねた電話が3件に、テキストメッセージが9件。どれも事務所からではありません。メイクモージックのオーディションから2日がたちましたが、まだ何の連絡もないのです。
さらに数時間待っても… 携帯は沈黙したまま。
ついに連絡がきた時には、もう合格の通知ではないことは明らかでした。リストに書かれた「大きなオーディションに合格する」の一行が、これまでになく目に強く迫ってきます。
ピンポーン!
誰かが訪ねてきたようです。今はパジャマのままで丸くなってじっとしていたい気分なのに…。
「ねえ、ベネッサ、開けて!中にいるんでしょ?」
なるほど、 ターシャでした。
ベネッサが玄関のドアを開けると、なぜか新しく出来たばかりの友人達がそろってパジャマ姿で立っています。
「元気づけようと思って来たわ。嫌って言っても無駄だからね」
そう言って全員がずかずかと家の中に上がり込んできました。ポップコーンにキャンディ、毛布を抱えて、テレビの前へと一直線に向かっていきます。
ベネッサはたまらず頬を緩めてしまいました。まだ名声は見つけられないけれど、彼女は確かにここに居場所を見つけたのです。
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「The Sims 4 Get Famous Expansion Pack」は2018年11月16日にPC、Mac向けにリリースされます。
(※)プレイには「The Sims 4」ゲーム本編(別売)と、すべてのゲームアップデートの適用が必要です。本パックの必要動作環境をご確認ください。