「The Sims 4 Get Famous」:ベネッサの挑戦(続)
全2回からなるストーリーの完結編です。
シムズファンの皆さん、来たる「The Sims™ 4 Get Famous」の発売を
ベネッサの挑戦:パート2
名声と今
鳥たちのさえずる声。明るい日差し。部屋の中には静かな音楽が流れています。目を覚ましたベネッサはまだ残る眠気を振り払いながら、自分がどこにいるかを思い出しました。ソファで眠りについてしまったのです。またです。セリフを覚えている最中のことでした。次の大きな仕事の撮影が始まってから2週間。この映画での彼女の評判は上り調子です。この前の出演作、初の女性プロレーサーを描いた「フィニッシュライン」は、この夏の大作として大ヒットしました。 その前の映画も同じくヒットしています。事務所も彼女なら成功は間違いないと考えているようですが、時々、ミラージュパークでバスのステップを飛び降りていたあの頃が懐かしくなります。
ベネッサは今は額に入れられ壁に掛けられた、懐かしいリストを眺めました。「大作映画に出演する」の言葉の上にはすでに線が引かれています。事務所から大役が決まったと掛かってきた電話の事は今も忘れられません。
キッチンに向かうと、コーヒーメーカーのスイッチを入れ、続いてジューサーでいつもの
パシャッ!
何の音でしょう!?慌てて振り返ると、家の裏庭で茂みが揺れています。
「誰なの!?」、思わず叫びました。
けれど何なのかはもうわかっています。どうして、あの連中は自分を放っておいてくれないのでしょう。
「すぐに出て行かないなら」、彼女は窓の外に向けて叫びました。「警察を呼ぶわ!」
すると前庭からカメラを持った男が飛び出していきました。一目散に、振り返りもせずに。
ベネッサは思わずため息をついてしまいました。「まったく…またタブロイド紙の一面かしら。今度は私がエイリアンに誘拐されたとか?」
撮影に出かける準備のため、ベネッサは階段を踏み鳴らしながら2階のシャワーへと向かいました。
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「おはようございます、ミス・チョン!何か欲しいものはありますか?水は?コーヒー、 オレンジジュース、 リンゴジュース、 それともザクロジュースにしますか?」
スタジオのアシスタントはいつでもご機嫌をうかがってきます。
「いらないわ、ケビン。セットに向かいたいだけから」
「それは素敵ですね、
「そうね、ありがとう」。半年前には、スタジオの誰も彼女の存在を気に留めなかったのに、 今は半径20m以内の誰もから
ヘアメイクを済ませ、衣装を合わせ - ベネッサの大好きな瞬間です - 撮影の準備が整いました。粋なレザーブーツを履き、金の
「素敵よベネッサ。今、素敵って言った?むしろ最高ね!」
監督のソフィアは
「ありがとう、ソフィア。このシーンに
「ええ、そうねベネッサ。あなたの言うとおりだと思うわ」
「そう… 何か付け足すことは?」
「あれば言うわ。けれど今ので上出来よ。とてもよく考えられているわ。よし、全員静かにして!」
その日の撮影が終わったころには、ベネッサの頭の中はもやもやで一杯でした。誰の言葉を信じてよいかわからないのです。本当に自分の演技は言うほどに素晴らしいのでしょうか? 海賊を演じるのなんてこれが初めてです。
「私は夢を叶えた… 夢を叶えた。夢を叶えたのよ」。静かに自分にそう言い聞かせました。
そして歩いているとまたケビンに出くわしました。
「お疲れ様です。
「いいえ!…何も必要ないわ。家に帰るだけだから」
「そうですか、ミス・チョン」
ベネッサの携帯が鳴り始めました。もう、何でしょう?
「もしもし?」
「ヴィー!ベネッサ?私よ!」。素敵です。ターシャでした。
「ターシャ!」、ベネッサはようやくまともな会話ができるとばかりに喜んで答えました。
「今夜の予定に変わりはなし?」、ターシャが聞いてきます。
「もちろん。あるわけないわ。スタジオPBPで集合よ!」
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パシャッ!パシャッ!パシャッ!
「ベネッサ、こっち!早く!」
今夜はいつにも増してパパラッチが元気な様子です。クラブに来ている他のセレブたちはもちろん、ベネッサをカメラに収めようと必死です。
ターシャとベネッサは一番のスタイリッシュなドレスに身を包み、ベルベットのロープで区切られた中へと入っていきました。クラブの用心棒も二人を確認して頷いています。
建物の中ではすでにDJによるパーティーが始まっていました。ダンスフロアに人が集まっています。ターシャと一緒に出掛けられるのは数週間ぶり。ベネッサは今週初めて笑うことができた気がしました。
「それで… 撮影はどうなの?」、ターシャが大声で聞いてきます。フロアの音楽は一曲ごとに音量を増しているかのようでした。
「順調よ!ただ、なぜだか監督が私の機嫌を取っているみたいな気がしてならないわ!ちゃんとしたフィードバックがもらいたいのに!」
「なんて言ったの?」、ターシャは耳に手を当てて、ベネッサに体を近づけてきました。
「ちゃんとフィードバックして、評価してもらいたいと言ったの!」
「わかった!素敵なバックパックね!」
ベネッサは思わず微笑んでしまいました。
次の曲が始まり、クラブのお客たちはさらに盛り上がっていきましたが、ベネッサとターシャは互いに顔を見合わせました。 あなたも同じ気持ち? 目を見ればそう言っているのがわかります。
「パーティーはお開きって感じ?」、ターシャが口にしました。
二人はベネッサの家に戻ると床に毛布の山を築き、テレビをつけて
ベネッサの携帯が鳴り出します。監督のソフィアからです。ベネッサは黙って着信を無視しました。今、ここで現実の世界を構成しているものは、自分と友達のターシャだけです。他の事は何もかも後回しで構いません。そうです、名声さえも…。
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名声に手を伸ばしたベネッサの物語を楽しんでいただけたでしょうか?
(※)プレイには「The Sims 4」ゲーム本編(別売)と、すべてのゲームアップデートの適用が必要です。本パックの必要動作環境をご確認ください。